専門分野:その他
クローン病、1型糖尿病の再生医療研究は?
30歳の息子と32歳の病気のことでお聞きします。長男はクローン病、次男は1型糖尿病です。ちもに根治は不可能と言われる病期ですが、最近、再生医療の研究が進められているやに聞きかじりました。どこで、どのような研究が行われていて、見通しはどうかなどについてお教えいただければ幸いです。息子たちに病気と向き合う気持ちを持たせることができればとお聞きした次第です。よろしくお願いします。
掲載日: 2017.09.11
A:
クローン病と1型糖尿病に対する再生医療についてのご相談です。いずれも難治性の疾患ですが、これらに対する再生医療の研究や患者さんを対象とした臨床試験が世界中で行われています。まずクローン病ですが、この疾患では消化管の慢性的な炎症が色々な症状の元になっています。このような炎症を抑えるために、間葉系幹細胞の応用などが試みられており、最近では、北海道大学と兵庫医科大学が、羊膜由来の間葉系幹細胞を用いたクローン病の治験を本年11月にも開始する、と報じられています(ヨミドクターのURLを下に示します)。https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170821-OYTET50023/
1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島(膵島)が自己免疫などによって破壊され、体内でインスリンが作れなくなることが原因で起こる病気です。これに対する再生医療も世界中で研究が進んでおり、例えば、ES細胞から分化誘導した膵島の前駆細胞(成熟すればランゲルハンス島の細胞になるような細胞です)を、免疫隔離機能がある(他人の細胞でも拒絶されない)カプセルに入れて体内に移植する臨床研究が米国で行われています(英語ですが、これを行っているViacyte社のURLを下に示します)。
http://viacyte.com/
また、我が国でも、ES細胞やiPS細胞から膵島細胞を分化誘導する研究が進んでいるほか、ブタの体内で人間の膵臓を作って膵島移植に用いることを目指した研究も行われており、1型糖尿病が必ずしも「治らない」病気ではなくなる日も近いのではないかと期待されます。
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