専門分野:骨・軟骨
自家培養軟骨移植術について
ネット等で調べてみると、手術の過程などは出てるのですが、術後、退院後はどのような感じになるのでしょうか? ある人のブログを読んでると、術後1年後には国で決められてて、内視鏡にて中の状態を確認する事になってるとも書いてありました。
何かの手術と同時にされてボルト等が入ってる方は抜釘手術の時についでに確認が出来ると思うのですが、この手術単独で受けた方も必ず確認のための手術が必要なのですか?もしそうであると、合計3回の手術が必要という事でしょうか?1度目は軟骨摂取、2度目で移植、3回目は経過観察?
また術後の経過観察はどれくらいの期間必要なのでしょうか?
掲載日: 2018.10.26
A:
このご相談は、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社の自家培養軟骨、「ジャック」についてのものと思われます。以下、ジャックについての同社のウエッブページを引用しつつ、解説を加えます。
まず、効能・効果ですが、「膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の臨床症状の緩和。」とされていますので、かなり活発に運動するスポーツマンの膝関節軟骨の損傷が主な適応になっています。そういう意味では、膝が治らないと仕事になりませんから、膝の治療に専念できる状況の方が多いと推察されます。
次に、本製品の承認条件ですが、まず、「本品の有効性及び安全性を十分に理解し、(中略)十分な知識・経験を有する医師及び施設において、適切な症例を選択して用いられるよう(後略)」という医師・施設・症例について厳選する条件がついています。そして、次に、「製造販売後の一定期間は、本品の使用症例の全例を対象に使用成績調査を実施し、本品の有効性及び安全性に関するデータを収集し、必要により適切な措置を講じること。」とされており、これが相談にある「術後1年後には国で決められてて、内視鏡にて中の状態を確認する事になってる」ということの理由と思われます。
なお、「製造販売後調査等について」の項目を見ますと、「調査登録期間:2012年7月27日〜2019年7月26日」とありますので、2019年の夏までは全例で3回の関節鏡が必要であろうと思われます。その後どうなるかは経過観察の結果を集計して判断されると思いますが、全般に治療成績は良好なようですので、条件が緩和される方向で検討されるものと思われます。なお、経過観察はいつまでも必要というわけではなく、1年後の経過観察以降は臨床症状に応じて行われていると思います。
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