NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.636


専門分野:耳・鼻・咽喉

アブミ骨筋の再生について

アブミ骨筋性耳鳴りの治療のため、アブミ骨筋を切る手術をしたところ、気になっていた耳鳴りは治ったものの、「音が頭に響く」という聴覚過敏になってしまいました。毎日非常に辛く手術したことを後悔する日々です。 iPS細胞でアブミ骨筋を再生し、手術前の状況に戻すことは可能なのでしょうか?また、もし現在そのような治療ができる病院があれば、ぜひご教示頂ければ幸いです。


掲載日: 2018.10.26

A:

アブミ骨筋の再生に関するご相談です。  今のところ、アブミ骨の再生を特別に研究している研究者はいないと思われますが、この筋肉は手足の筋肉と同じ横紋筋のようですから、原理的には、骨格筋の幹細胞を用いて再生させることは可能と考えられます。ただし、実際にそのような治療を行った実績があるかどうかは残念ながら知識がありません。  耳鳴りの治療についてですが、「耳鳴治療のエビデンス」(新田清一.日耳鼻 119 : 1242-1243, 2016)という小論文(専門医通信)によると、治療法として、1)教育的指導・カウンセリング、2)補聴器、3)音響療法、4)認知行動療法、5)薬物療法の五種類で(手術療法は書かれていません)、エビデンスレベルの高い(客観性があって信じるに足る)研究で有効とされているのは認知行動療法のみである、とされています。認知行動療法では、耳鳴りに対するネガティブな考え方(例えば、「耳鳴りが完全に消えない限り、私は幸せになれない」など)を明らかにしてこれを修正することで、耳鳴りの苦痛や生活障害を改善させる、とされています。  実際、片方だけの耳鳴りや難聴は検査や手術が必要になる場合がありますが、両側性の耳鳴りや難聴は、ある程度年齢を重ねると出てくる事が多いと思います。「耳鳴りは白髪のようなもの」という医師の言葉を聞いたことがありますが、多少の不快感や不自由があっても、慣れてゆくしかないのかもしれません。ただ、難聴がある場合の耳鳴りを補聴器で治療するような方法もあるようです。信頼できる医師とよく相談して、最適な方法で対処していただくようお願い致します。


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