専門分野:脳・神経・脊髄
再生医療治療後のリハビリ
主人が慢性期の脳出血になります。
注入した幹細胞や神経幹細胞が損傷部の保護と損傷された神経路を再建して、麻痺を回復すると言われておりますが、元通りに神経路を再建・強化するためには、ある一定期間でのリハビリとの併用が必要になりますでしょうか?
その場合、重度の患者では、最高でどのくらいの頻度と期間のリハビリが必要になると想定されていますか?その際の保険適用のしばりについては、医療制度上問題ないのでしょうか?つまり、機能的に手足が治るまで、リハビリ診療を受けられるのでしょうか?(通常病気が起きた後急性期、回復期、維持期でそれぞれ入院期間に制限あり)もしくは、治療後翌日にすぐ効果が出るのでしょうか?
上記につき、患者の麻痺の状態にもよるかと存じますが、アメリカの脳梗塞の治験の例でも構いませんので、ご教授頂けると幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
掲載日: 2019.01.21
A:再生医療による細胞治療とリハビリテーションとの関係についてのご相談です。
最近では、リハビリテーションも一種の再生医療ではないかとの考えが広まっています。どういうことかとも申しますと、ご相談にもあるとおり「損傷された神経路を再建して、麻痺を回復する」訳ですが、損傷された神経路は一度壊れていますので、これを新たに作り直す必要があります。この作業は自然に起きることではなく、例えば、自転車に乗れない子供が乗れるようになるために練習をするような訓練が必要になります。このような訓練がリハビリテーションだとお考え頂くのが分かりやすいと思います。「損傷部の保護」はリハビリテーションでは期待できず、再生医療の役割になりますが、「損傷された神経路の再建」はリハビリテーションの役割が大きく、再生医療はその補助をするとお考えください。何かが再びできるようになるには、一度壊れた神経路を再構築するリハビリテーションが是非とも必要です。
リハビリの頻度や期間については個人差があると思いますので一概には言えません。ただ、他動的に動かしているだけではその動きをするための神経路は再構築されないと言われています。積極的に意思を持って取り組まれることが重要かと存じます。
医療制度におけるリハビリテーションについて、また、アメリカでの実績については、回答者の守備範囲を超えていますので回答できかねます。ご理解のほどお願い致します。
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