NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室

No.692 心肺停止後の低酸素脳症の治療について

項 目内 容
専門分野脳・神経・脊髄
質問タイトル心肺停止後の低酸素脳症の治療について
質問内容

73歳の父が、外出先で心肺停止の状態で発見され、病院へ搬送されました。現在は心臓、肺も回復へ向かっており、自力での呼吸も出来ております。ですが、一切の意識がありません。脳へ酸素が送られなかった時間があるため、低酸素脳症の可能性があるそうです。

心肺停止による低酸素脳症の治療法や研究チーム、治験の情報について情報をいただけないでしょうか?

掲載日2020年02月19日
回 答

低酸素脳症に対する再生医療のご相談です。

厚生労働省の「届出された再生医療等提供計画の一覧」を確認しました。新生児の低酸素脳症に対する自己臍帯血幹細胞による治療(大坂私立大学医学部付属病院)はありましたが、成人の脳症を対象とした再生医療を届け出た施設は無い様です。ただし、Muse細胞をはじめとして神経細胞にも分化しうる細胞の研究は行われていますし、脳梗塞など脳の局所的な病変に起因した機能障害に対する再生医療も臨床応用の段階に入ってきています。この様な研究が進んでくれば、時間はかかるかもしれませんが、蘇生後脳症(お父様の場合はこれに相当すると思われます)に対する再生医療も現実のものになってくることが期待されます。自発呼吸があるということは脳死状態ではありませんので、神経回路の再構築に伴って少しずつでも脳神経の機能が回復してくる可能性はあると思われます。意識障害の方を対象としたリハビリテーションも行われていると思いますので、担当の医師と良く相談されて、治療・介護に当たっていただきたいと存じます。