muse細胞についてわかりやすく説明していただき、誠にありがとうございます。脳幹出血に倒れましてはや14年経ちますが、早いような遅いような気がいたします。しかし、今一度自分の足で歩きたいという気持ちは変わりません。ということで、近々幹細胞治療を受けてみようかと思っているところです。私にとっては大金なんですが。中には幹細胞治療・サイトカインカクテル療法が含まれるそうです。率直にお聞きいたしますが、先生はこの治療をどのようにお考えでしょうか。忌憚のないご意見をお聞かせください、お願いいたします。

例えば、自己の脂肪細胞由来寛容系幹細胞を患者さんに投与すると実際に患者さんの症状が良くなることは結構あるようですから、支払うお金とのバランスが取れているとお考えの場合は、試みる価値があるのではないかと思います。サイトカインカクテルを用いた治療についてはあまりよく知らないのですが、非常に多くの増殖因子などが含まれているそうですから、こちらも、値段と相談して、試みる価値はあるかもしれません。ただ、サイトカインカクテルは幹細胞由来ですが、生きた細胞自体は入っていませんので、我が国の法律では再生医療には当たらないと思います。また、この方法では、幹細胞治療のように新しく投与した細胞による各種の増殖因子などの新たな産生は期待できないので、投与間隔が短くなる、または、回数が多くなる傾向は否めないようです。サイトカインカクテルは、未承認で成分がはっきりしない増殖因子の混合物と捉えるのが良いかと思います。ただ、ある種の増殖因子を用いた薬（有効性分の種類と量がはっきりしている）は、薬剤として応用されている場合もありますので、ある程度の効果は期待できるかもしれません。

治療にかかる費用と得られるかもしれない効果を勘案して、納得が行くようであれば試みられても良いかと思います。