項 目 | 内 容 |
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専門分野 | 骨・軟骨 |
質問タイトル | 特発性大腿骨頭壊死について |
質問内容 |
15歳になる娘が特発性大腿骨頭壊死の診断を受けました。両側でタイプはC2ステージ左は1、右は3-1です。先日京都大学病院にてbFGFを用いた再生医療について話を聞きましたが、まだ認可されていないためできないとのことでした。骨切りは壊死範囲が広く厳しい状況です。まだ若く、保存療法にていろんなことを我慢しながら過ごし、潰れたら人工股関節にするという選択肢もありますが、今できる再生医療があれば、チャレンジしたいです。京都大学に限らず、今、受けられる再生医療があるのか、また、今はない場合は、いつ頃認可されそうか(間もなくなのか、数年後なのか)。海外はどうか。ぜひ、情報をお願い致します。 |
掲載日 | 2020年09月15日 |
回 答 |
bFGFを用いた再生医療ですが、「特発性大腿骨頭壊死症に対する骨頭圧潰前の早期低侵襲治療:トラフェルミン(遺伝子組換え)含有ゼラチン架橋体(ゼラチンゲル製剤)投与による骨頭の圧潰阻止効果に関する多施設共同第II相医師主導治験」のことかと思います。この詳細は、 https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000023495で確認できますが、治験自体は終了しており、結果は公開されていないという段階のようです。この治療法は徐放性のbFGF製剤を局所投与するもので、厳密にいうと生きた細胞を投与しませんので、我が国の法律に言う再生医療には当たりませんが、京都大学では、これと自己骨髄由来間葉系幹細胞を併用するような研究(これは再生医療に当たります)も行われており、一定の有効性は確認されたようです。 我が国で行われている再生医療(生きた細胞を用いた治療で厚生労働省に届出ているもの)は厚生労働省のホームページで確認できますが、ここで「大腿骨頭壊死」で検索しても何もヒットしませんでした。従って、我が国では「今、受けられる再生医療」は残念ながら無いものと思われます。 この病気は、大腿骨頭が虚血に陥るために起こるもので、病変部に血管を新生させる治療法が有効です。従って、徐放性のbFGFで血管を新生させることが治療に結びつくと考えるわけです。同様に、間葉系幹細胞でも血管を新生させることができるとの考えから、そのような細胞を局所投与する方法もあり得るわけで、海外ではそのような治療法も試みられています。「海外はどうか」ということですが、受けられる医療施設まではよくわかりません。 このようにbFGFを徐放化して体内に投与する治療法は、下肢の虚血性疾患にも試みられており、一定の安全性と有効性を示しているのですが、なぜか保険収載されない状況が続いています。良い治療法が実用化されない状況はこれだけに限ったことではありませんが、そのような治療法を待っておられる患者さんやそのご家族が声をあげられることもある程度有効ではないか、とも考えられます。 |
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