項 目 | 内 容 |
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専門分野 | 脳・神経・脊髄 |
質問タイトル | 脊髄小脳変性症に関する再生医療について |
質問内容 |
数年前に脊髄小脳変性症を発症し、徐々に悪くなっていくのを実感してます。まだ日常生活に支障をきたしてはないですが、進行の状況からして、そうなるのも時間の問題のように思います。そのような中、脊髄小脳変性症の再生医療のことを知り、非常に関心をもっています。 質問は、脊髄小脳変性症の再生医療は、症状が軽いうちに行った方が効果的なのでしょうか。それから、脊髄小脳変性症に対する症例は、どの程度あるのでしょうか。もし、その効果の程度が定性的にでもご教示頂ければ幸いです。 |
掲載日 | 2020年11月06日 |
回 答 |
リプロセル社のH P(https://reprocell.co.jp/regenerative_medicine)によりますと、脊髄小脳変性症の患者さんを対象としたステムカイマル®(他家由来間葉系幹細胞)を用いた第II相臨床試験が我が国で2020年2月に開始されているとのことです。また、台湾ではこの試験が終了して現在は経過観察中とのことです。これに先立って台湾で行われた第I/IIa相臨床試験の結果が公表されていますが(Cell Transplantation, Vol. 26, pp. 503-512, 2017. Treatment of Spinocerebellar Ataxia With Mesenchymal Stem Cells A Phase I-IIa Clinical Study. → PubMedでAbstractを見る)、この結果を見ますと(7症例での結果です)、「臨床症状の進行が抑制される傾向がみられた」ということですから、あまりはっきりした有効性は示されていない様に思えます。しかし、この疾患に対する既存の治療法がない状況を考えれば、1例でも臨床症状の回復が見られれば(実際に、1例ではかなりの症状緩和が得られています)驚くべきことだと思います。 さて、「症状が軽いうちに行った方が効果的なのでしょうか」ということですが、上記の文献ではS A R Aスコア(満点の40点では、歩けない、立てない、座れない、喋れない様な状態)が10点台の患者さんを対象に行われていますので、症状としてははっきりあるが、それほど重症ではない様な方が選ばれている様に思います。実際、神経疾患などが重症化すると、筋肉の萎縮や四肢の変形などが出てきて、もしも疾患が治ったとしてもなかなか動作の回復に結びつかない場合がありますから、あまり進行しないうちに受けてみられるのが良いのではないかと思います。 また、「症例はどの程度」とのご相談ですが、「程度」が症例数のことだとすれば、我が国における上記の治験では53例の症例数を目指して実施される様です。 「その効果の程度が定性的にでもご教示頂ければ」とのご相談ですが、上記の文献を見ますと、1例では症状がかなり改善しており、その効果は1年後でも持続していますが、逆に、ほとんど効果がなかったり、観察期間中(12ヶ月)に悪化する症例も含まれています。結局のところ、効果はやって見ないと分からないが、効く場合もある、ということになるのではないかと思います。 |
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