再生医療相談室

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No.777 痙攣重積型(二相性)急性脳症

項 目

内 容

専門分野脳・神経・脊髄
質問タイトル痙攣重積型(二相性)急性脳症
質問内容

私の息子は1歳半の時にRSウィルス引き金に痙攣重積型(二相性)急性脳症を発症し、左麻痺です。言葉も数語話できるだけです。

最近テレビで知りましたが、ミューズ細胞で我が子が何とかならないかといてもたってもいられなくなりました。もし、可能なら治験を受けたい。それでうまくいけば、脳症で苦しむ方やその他の事でも希望が持てる。

だからせめてお話を聞くだけでもできないかと悩んでいます。

掲載日2023年02月15日
回 答

痙攣重積型(二相性)急性脳症を患っておられて、左麻痺・言葉も数語と言うことですから、疾患によって重症となられたお子さんをお持ちのようです。これに対してミューズ細胞の適応があるのかどうかと言うご相談です。「せめてお話を聞くだけでもできないか」と言うことですから、この細胞の発見者である出澤真理教授のご所属を申し上げます。それは、東北大学大学院医学系研究科の細胞組織学分野です。

ミューズ細胞は、元々、三菱ケミカルホールディングズの下で脳梗塞などについての治療に関する仮承認(条件及び期限付承認のこと。我が国独自の制度で、再生医療をより早く受けてもらえるようにしたもの)を目指していましたが、一昨年12月に本承認を目指すことが決まり(これに対するご相談には764や768でお答えしています)、さらに、これを用いた再生医療等製品CL2020の開発を中止することが決まったとのアナウンスが本年2月14日にありました。

会社として仮承認を目指す段階では「適応」と言うものがあって、この細胞の場合、急性心筋梗塞とか脳梗塞が適応として上がっていたと思います。この段階で、痙攣重積型(二相性)急性脳症は適応症になっていませんから、適応は無いことになって、これを使った治療は、仮承認になったとしても、受けることができません。

これに引き換え、保険外診療であれば(保険が効かないので全額自費診療になるが、痙攣重積型(二相性)急性脳症が適応に含まれていれば治療を受けることができる)、その可能性がある訳で、開発中止は可能性が広がる可能性がある訳です。

と言うことで、ミューズ細胞の適応についての話でした。この細胞は胚葉の垣根を超えて多くの才能に分化することが知られており、脳症に適応があれば素晴らしいと思いました。