NPO法人再生医療推進センター

No.07 再生医療トッピクス

再生医療の監視体制を強める

-厚生労働省は再生医療安全確保法の省令改正ヘ‐

厚生労働省は再生医療などで細胞を用いる治療の監視体制を強める方針を決めました1)。がん免疫療法も対象です。


再生医療を国民が迅速に安全に受けられるようにするための総合的な政策の推進に関する法律の一つである「再生医療安全性確保法(2014年11月25日施行」は医師・歯科医師による、加工した細胞を用いた医療行為を規制するものです。この法律により、医療機関は治療を提供する場合、3種類のリスク区分に応じて、再生医療等提供計画を認定再生医療等委員会(厚生労働大臣認定)による審査で承認を受けた後、厚生労働大臣に提出する義務があります。実施に伴うリスクの大きさに応じて、ES細胞、iPS細胞等を用いた第1種再生医療等、脂肪幹細胞などの体性幹細胞等を用いた第2種再生医療等、体細胞を加工した等の第3種再生医療等の3段階に分類されています(詳細は、当センターのホームページ、元気が出る再生医療、第1回元気のでる再生医療を参照下さい)。


現在、注目を集めている「がん免疫療法」は、T細胞などの免疫細胞を用いる治療と、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤を使う治療があります。前者が再生医療安全性確保法の対象で第3種再生医療等の区分となります。後者は細胞を使わないために対象外です。


同法の省令改正案では、

  1. 再生医療等提供計画に反する事態が起きたときの対応手順を新たに設け、治療に携わる医師に、医療機関の管理者への報告を義務化
  2. 重大なケースは速やかに認定再生医療等委員会の意見を聞き、同委員会で出た意見を厚生労働省に報告
  3. 努力義務であった苦情を受ける窓口の設置
  4. 第3種では提供計画の審査を依頼した医療機関と利害関係のない委員の出席数を現行の2人以上から過半数

とする方針です。厚生労働省は、この省令を10月中にも改正、公布する予定です。


(参考資料)

1)朝日新聞:再生医療の監視強化、2018年10月7日


(NPO法人再生医療推進センター 守屋好文)


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