慶応大発バイオベンチャーのハートシード(東京都港区)が実施中の、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心臓の筋肉(心筋)を球状に加工し重い心不全患者に移植する治験について、移植量を3倍に増やす段階への移行が承認されたと報道されました[1]。
ヒトiPS細胞から作製した心筋球の移植は、心不全治療において革新的なアプローチです。慶應義塾大学と信州大学の研究チームは、心筋梗塞を発症したカニクイザルに心筋球を移植し、長期にわたり心機能の回復を確認しました。移植後の心室性不整脈の副作用も少なく、現在はヒトを対象とした臨床治験が進行中です。この治療法は心不全患者に新たな希望をもたらす可能性があります。[2][3][4]
移植用の心筋球細胞は以下の方法で作成されると報告されています[5-12]:
1. まず、ヒトiPS細胞から高純度の心筋細胞(主に心室筋)を製造します[7]
2. 特殊な培養皿を使用して心筋球を形成します。この培養皿は底に直径0.5ミリの穴が無数にあいており、心筋細胞を入れると自然にボール状の塊(心筋球)ができる仕組みになっています[6]。
3. 1つの心筋球は約1,000個の心筋細胞から構成されます[5][6]。
4. 作製された心筋球は純化精製され、未分化細胞や非心筋細胞が除去されます。これにより、腫瘍形成リスクや不整脈発現リスクが最小限に抑えられます[5]。
5. 心筋球の品質確認として、活動電位波形の確認、βアドレナリン受容体アゴニストへの反応性、免疫染色による細胞タイプの確認などが行われます[7]。
この方法により、従来のバラバラの細胞を移植する方法と比べて、生着率が数十倍に向上することが確認されています[6]。
このようにiPS細胞から作製された心筋球移植は、次のように心臓の機能を改善すると言われています[13-16]:
1. 直接的な収縮力の向上:移植された心筋球は、レシピエントの心筋細胞と電気的に結合し、長期間生着することで直接収縮力を発揮します[13]。
2. 心筋の再生:移植された心筋細胞が心臓に定着し、失われた心筋を補うことで心臓の機能を回復させます[15]。2. 心筋の再生:移植された心筋細胞が心臓に定着し、失われた心筋を補うことで心臓の機能を回復させます[11]。
3. 局所的な収縮機能の改善:MRI画像解析により、細胞を移植した場所を中心に心臓の収縮する動きが大きくなっていることが確認されています[14]。
4. 心不全マーカーの改善:一部の患者では、心不全の悪化を示すホルモンの値が移植後に低下しました[14]。
5. 長期的な効果:移植された心筋細胞が長期にわたって生着し、心機能の改善を持続させることが動物実験で確認されています[15]。
これらの効果により、iPS細胞由来の心筋球移植は心不全患者の心機能を総合的に改善し、長期的な治療効果をもたらす可能性があります[13][14][11]。
(adipocyte + Perplexity AI / 20240803)
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