厚生労働省、糖尿病の患者への豚膵島移植を容認
5月27日、厚生労働省の審議会で動物の臓器や細胞を使って病気を治療する「異種移植」に関し、“厚生労働省は国内でも豚の細胞を糖尿病の患者に移植することを一定の条件の下で容認する方針を決定”しました。
「異種移植」は、動物が有するレトロウイルスに感染するおそれが否定できないとして、国内では実施されていません。しかし、海外では糖尿病の患者に対し、血糖値を下げるインシュリンを分泌する豚の臓器の細胞を移植して成果を上げており、ウイルスへの感染も報告されていません。また、大塚製薬の設立した会社がアルゼンチンで4人の糖尿病患者に臨床実験を行い、全員の血糖が下がり、3人はインスリン注射の量を減らすことができたということです。これらを受け、厚生労働省は、移植患者を生涯、定期的に検査することや、移植の記録を30年間保存することなどを条件に、豚の細胞を移植する「異種移植」を国内でも容認する方針を決めました。豚の細胞の移植は、これまで国内の大学や製薬会社で臨床研究の計画が進められ、早ければ3年後にも始まる見通しだということで、厚生労働省は「人から人への臓器移植は提供者が少ないため、異種移植によって治療が前進するよう対応していきたい」としています。
(NPO法人再生医療推進センター 21研究室 篠原)
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