Covid-19(新型コロナ感染症)に対する幹細胞治療が進んでいます。
アラブ首長国連邦のFatima Al Kaabi氏(血液学、腫瘍学、Sheikh Khalifa Medical City)によれば、28人の専門家がチームを組んで4月4日にCovid-19に対する幹細胞治療の治験を開始しました。ICU入院中の25%の患者73人に投与したとのことです1)。
その後、その患者全員が回復したと報告されました(アブダビ幹細胞センターThe Abu Dhabi Stem Cells Center)。ウイルス感染による異常な免疫反応を抑え、痛んだ肺を修復したと考えられています。
米国、マウントサイナイ病院で3月から4月に行われた幹細胞治療ではCovid-19の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で呼吸器装着患者12人に投与され、10人(83%)が救命されました2)。9人(75%)が呼吸器を外すことができました。同時期、同市(ニューヨーク)で同程度の患者の生存率は12%と報告されています。メゾブラスト社(Mesoblast)はこの結果を受けて300人の患者を対象とした治験(ランダム化比較試験)を始めると報告しました3)。
COVID-19 では免疫系の暴走を引き起こすことがあります。免疫細胞が過剰なサイトカインを産生し(サイトカインの嵐;サイトカインストーム)、それが更に過剰な免疫細胞を産んで自分の肺を攻撃してしまいます。幹細胞はこのサイトカインストームを抑え細胞修復に働くことが期待されています(Stem Cell Rev Rep. 2020 Apr 13 : 1–7.doi: 10.1007/s12015-020-09973-w [Epub ahead of print] Mesenchymal Stem Cell Therapy for COVID-19: Present or Future. Ali Golchin, Ehsan Seyedjafari, and Abdolreza Ardeshirylajimi)。
(閲覧は何れも2020-5-4) (neuron)
(参考資料)
(免疫暴走による肺炎重篤化に関する報道資料)
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