専門分野: 皮膚・毛髪
Q: 糖尿病性足部壊疽と皮膚移植について
私の父は長年糖尿病を患っており、インシュリン投与を行っております。(因みに糖尿病歴は約30年、インシュリン歴は恐らく20数年と思います)これまでに合併症としては糖尿病性網膜症を患っており、現在足部第一指(親指)の怪我が元で足部壊疽を起こしており今入院加療中です。そこで、担当医から皮膚移植の話が出たのですが、これで症状は改善出来るのしょうか?またこの他に切断以外の治療法はないものでしょうか?是非アドバイスをお願い致します。
掲載日: 2006.8.30
A:
(事務局より:専門家の意見を伺いました。以下に記します。ご希望でしたら施設名をお知らせしますのでご返事ください。) 壊死の程度にもよりますが,虚血の程度と感染の合併が問題です。 虚血の程度が強い場合,感染が合併しますと,すぐに蜂窩織炎からさらに壊疽が進展して(痛みが増強した時は要注意です。骨髄炎を合併している場合があります),切断以外治療法が無いという状況になります。 虚血がなく,感染がなければ,皮膚移植は簡単に生着します。 一つの目安は足の甲の部分の動脈(足背動脈といいます)や外側のくるぶし周辺の動脈が触れれば血流は維持されている事が多いです。簡単な評価法がありますので(ABI)病院で測定して貰ってください。つまり血流増加と感染制御と創傷治癒が3本柱です。 これらを分けては考えられません。 我々はこれらを一連の治療として体系付け,全国2施設目として「医療用無菌ウジ治療:感染制御に極めて有効です」を開始して,抗生剤の効かない壊疽を除去し,多剤耐性緑膿菌で感染され,切断を宣告された糖尿病壊疽の患者さんが28日間で歩いて帰られました。 さらに自己骨髄幹細胞移植による血管再生治療法も全国4施設目として「高度先進医療」に承認されました。 今血管を拡張する為の治療薬を点滴で投与中です。――「リプル」というお薬と思いますが,我々は,静脈注射より,さらに有効な動脈内注入をしております。 いずれにせよ,絶対禁煙で(我々は切断の危険性のある患者さんで禁煙出来ていない方は初めから治療不能として診察致しません),糖尿病のコントロールがしっかり為されていることが絶対条件です。 創を見ない限りこれ以上のことはわかりません。
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