専門分野: その他
Q: 骨髄細胞による肝臓再生のその後について
骨髄細胞を静脈から注入して肝臓再生する治療を2003年度山口大学が行った件で質問なのですが、 1)その後具体的に患者さんはどのような回復をされているのでしょうか。 2)また、重い肝硬変の患者さんに実施されたようですが、代償期の肝硬変にもその治療はされている、まだなら有効な可能性はあるのでしょうか。 また以前に、山口大学以外でこの治療が行われているところはないですか、との質問に、その当時はまだ山口大学のみのようですとの回答だったのですが、インターネット等で調べてみるとこの3年の間に他の大学、病院も行われているようにみられます。そういった新しい再生医療を行っているかどうかは、各々の病院に個人で確認するほかないのでしょうか。 効果があるならどうしても治療を受けてもらいたい肝硬変の家族がおり、少しでも今後の心配がへればと思っています。よろしくお願いいたします。
掲載日: 2006.8.30
A:
2003年に山口大学で行われた骨髄細胞による肝臓再生医療のその後や日本の現状について、ご担当の先生を含めて専門家の先生方にご意見をお伺いいたしましたので、以下にお答えいたします。 1)その後の患者さんの回復状況 <現在までに15人の患者さんに治療を施行し、その中で半年以上経過した10名の患者さんについては1名を除きご存命しておられます。この1名の方は常習飲酒家で骨髄細胞移植後も酒が止められませんでした。結局のところ最終的に生体肝移植を行っていただきました。> 2)代償期の肝硬変について 現在、第二相試験で検討を行っておられるそうですが、今のところ、非代償性肝硬変(血清アルブミン2.5/ml以上、総ビリルビン<3.0mg/ml、血小板数5万/ml)を対象にしているとのことです。従って、代償性肝硬変での検討はまだしておられないとのことです。 3)山口大学以外の大学、病院における本治療の現状 この治験は厚生労働省トランスレーショナル研究費で行い、当然のことながら他施設での評価を受けなければなりません。山口大学は現在、旭川医大、山形大、東京医科歯科大と提携し技術移転も行っておられます。実際には、山形大でも実施されて、いい結果が出ているようです。恐らく、近々、信州大学でも実施される可能性があります。 以上が、ご質問に対する回答です。本治療はまだ治験段階ではありますが、私達が予期した以上に早いテンポで治療が普及しつつあり、私達も嬉しく思っております。日本が世界へ発信できる治療として徐々に認識されつつあります(この治療法はつい最近英文の一流誌にも掲載されました)。 ご家族の主治医の先生によく相談をされますように、お願い申し上げます。 ご質問の内容が非常に専門的であり、ご質問者のご理解に深い感銘を覚えました。
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