NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.259


専門分野: その他

Q: 滑膜肉腫治療後の副作用

 H15年10月に卵管に腫瘍(滑膜肉腫)の発見、摘出、抗がん剤治療1クール。後16年8月に尿道、肛門部に転位し摘出、抗がん剤治療1クール後腹部に放射線照射、血液数値低下により幹細胞移植後、H17年7月末退院。8月帯状疱疹により入院(10日余)退院。H18、2月から血尿が見られる様になり(治療の副作用により膀胱炎)酸素療法、一部にレーザー治療をしていますが膀胱内部全体が炎症の為出血は治まらず、輸血も度々、尿道は何度も詰り現在は太目の管にて排出しております。やっとベットの上に座る事は出来る様に成りました。  まだ16歳(女子)ですので膀胱を摘出は考えていませんし膀胱内の細胞自体が元に戻る事を願っております。 以上の簡単な経過説明に成りますが医療に尽きましては私自身も良く分りませんので説明不足とは思いますが良い治療方法が有ればと思い質問致しました。宜しくお願い申し上げます。

掲載日: 2006.8.30

A:

 返事が遅れて申し訳ありません。卵管腫瘍(滑膜肉腫)摘出後に治療(抗癌剤治療、放射線治療など)を行った後の膀胱内部全体の炎症による出血があり、それに対する治療をしておられるとのことですが、1日も早い御回復をお祈りいたします。御質問をいただいた時点で、やっとベッドの上に座ることができるようになられたとのことですので、一安心されたこととお察し申し上げます。
膀胱内の細胞自体が元に戻る(細胞の働きが回復する)ことを願っておられるとの事ですが、膀胱機能の回復の経過につきましては、懸命に治療をしておられる主治医の先生から御説明を聞いておられることと存じ上げます。御本人は16歳とお若いですので、膀胱の炎症が治まれば、細胞機能の回復も成人の方よりは早いと考えられます。
現在、尿路系組織・臓器(腎臓、尿管、膀胱など)に関しましても、再生医療の研究がかなり進歩しており、そう遠くない将来において臨床応用が可能になると考えられています。腎臓や尿管に対する再生医療の臨床応用にはまだ時間がかかるかもしれませんが、膀胱に関しましては、つい最近米国(ウエイクフォレスト大)で、正常な膀胱の細胞を取り出して培養し、この細胞を用いて膀胱を作り(細胞を用いて膀胱の形をした組織を作り上げる;再生膀胱)、その再生膀胱を膀胱機能が先天的に障害されている患者さんの体内に入れたところ(再生膀胱を元の膀胱と縫い合わせた)、2〜5年間もの間経過が良好(膀胱の尿を保持する機能が強化された)であった、との報告がなされています。今のところ臨床試験の段階であり、治療の対象疾患も明確化されていませんが、将来的に期待の持てる分野であり、私たちも、一刻も早い臨床応用の実現と普及を待ち望んでいます。
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