専門分野: 糖尿
Q: 末期の糖尿病について
ネット検索で、貴事務局が平成16年に京都で行われました 「糖尿病の再生医療」という講演会の案内ページを拝見致しました。 実は私の弟(44歳)が末期の糖尿病を患っておりまして、あらゆる合併症を併発し、苦しんでおります。 その中のひとつに手足の痛みがございまして、最近とみに痛みが激しく、かかりつけの先生にご相談申し上げても最終的には切断でしょう、と言われてしまうらしく困っております。 弟は独身で実家におりますが、両親もそれぞれに年ですし弟自身からだが大きく、万一切断ということになりますと家で面倒を見ることもかなわなくなるだろうと思い、なんとか切らずに済ます方法はないかとあちこち相談しておりますがいまひとつ手応えがありません。 どこかそういった治療を受けられる医療機関をご存知ないでしょうか。 何卒よろしくお願い申し上げます。
掲載日: 2007.6.1
A:
お話を伺いますと、糖尿病の合併症に基づく末梢性血管疾患(重症下肢虚血性疾患)と考えられます。手足の強い痛みがあるとのことで、お苦しみをお察しいたします。ホームページにも掲載していますが、3〜4年前から、重症下肢虚血性疾患に対しては再生医療として、骨髄細胞を移植する治療法が臨床治験として開始されています。実際の方法を説明しますと、慢性重症下肢虚血性疾患の患者さんの下肢筋肉内の虚血部位に、患者さん御本人の骨髄液から採取した骨髄細胞(骨髄単求核細胞)を注入(注射)して、血管新生を促す治療が行われています。この治療は、日本医科大学、京都府立医科大学、関西医科大学、自治医科大学など、多くの施設で取り組みが行われています。この骨髄細胞を用いる治療法はわが国で2003年6月25日に再生医療として初めて高度先進医療に認可され、保険給付が承認されています。 他に再生医療としての細胞療法として、血管内皮前駆細胞を用いる治療の取り組みが行われています(神戸市の再生医療センター)。実際には、自家抹消血管内皮前駆細胞(患者さん御本人の抹消の血液から血管内皮前駆細胞を取り出して治療に用いるので、拒絶反応が起こりません)が用いられています。慢性重症下肢虚血性疾患の患者さんの下肢筋肉内の虚血部位に、血管内皮前駆細胞を注入(注射)して毛細血管の新生を促すことにより、血流の改善がもたらされます。 日本医科大学の第一内科(宮本正章助教授)では、骨髄細胞を用いた治療法以外に、医療用ウジを用いた再生医療が開始されています。上記の治療により、痛みの軽減や、歩行の開始など、かなりの効果が報告されています。 いずれにしましても、現在の足の病気が再生医療の適応になるのかどうかについて判定していただくことが必要です。主治医の先生が病状を一番よくご理解されておられますので、まず、主治医の先生と十分にご相談していただきたく存じ上げます。弟様の痛みが少しでも楽になりますように、祈っております。
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