NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.268


専門分野: 耳・鼻・咽頭

Q: 外耳形成不全の女の子です

 今日の新聞の1面トップに再生医療の研究がまた一歩進んだ内容の記事が載っていましたね。早く実用化されることを希望します。 さて、もうすぐ1歳半の娘の右耳についてご相談申し上げます。 産まれたときから、右の耳が外耳道閉鎖・外耳形成不全で、いろいろな病院で見てもらっています。左耳は正常で、また、右も検査の結果聞こえているようだということがわかりました。 耳の形はほとんどなく、ごく小さな耳たぶがあり、あとは小指の爪の大きさ程度ですが軟骨かと思われるものがあります。 現在見てもらっている形成外科では、小学校低学年くらいになったら、肋骨の軟骨をとり耳の形を作ってつける手術を、という話をして頂いています。 それでもいいのですが、女の子ということもあり、できれば就学前に耳の穴は開けなくとも最低耳の形のものをつけてあげたいと思っています。 そういう経緯もあり、以前テレビで見た、体内で溶ける土台を利用しての再生に興味を持ちました。 そこで、質問です。 体内で溶ける土台を使って耳(表皮や軟骨まで)を再生させ、手術でつけた場合、体の成長に伴って耳も成長するでしょうか。 現在実用化されているかどうかよくわからないのですが、この方法を扱っている病院はあるのでしょうか。 また、肋骨の軟骨から耳を作るという現在の主流の方法をとる場合でも、肋骨からでなく今の耳に付いているほんの小さな軟骨を利用することはできないのでしょうか。 私もあまりよくわからない状況で質問するのもお恥ずかしいのですが、よろしくお願いいたします。

掲載日: 2006.8.11

A:

 ご心配な事と思います。
社会生活上、早く治療を望まれる方が多いと聴いています。
現在の医療の段階では肋軟骨を利用するものが主流であり、この場合、体とのバランスをとる為に90%の耳の成長してしまう時期、充分な肋軟骨を採取する必要から、10歳前後、胸囲が60cm以上等の条件で行うのが良いと言われています。軟骨は再生しにくいと言われておりますので、あまりに早い時期に手術を行ってしまった場合には不十分な外耳形成になる可能性があるのではないかと危惧されます。また、10歳以下で行うと70%の患者様が側彎症を生じてしまうという報告もあるようです。
組織再生の場合は環境(足場;体内で溶ける土台)、細胞、細胞を増殖させる因子の3つが必要であり、足場だけが良くても他の条件が充分でなければ、細胞から外耳組織を作る事は難しく、軟骨細胞に関しては研究段階といえると思います。
現在の研究段階では近畿大学形成外科が鼻中隔軟骨から軟骨組織を再生、イヌ耳介軟骨細胞をマウスに移植し軟骨再生に成功したと報告されています。
また、東京大学形成外科も軟骨細胞の再生に取り組んでいますので、打診されてみてはいかがでしょうか。
NPO会員様募集中
再生医療相談室トップに戻ります
再生医療推進センターは再生医学、再生医療の実用化を通して社会への貢献を目指す非営利活動法人です。
Copyright (C) NPO法人再生医療推進センター All rights reserved.