専門分野: その他
Q: 参考文献について
胎児細胞を再生医療に利用して、治療実績をあげている事が書かれた症例集のようなものはないでしょうか。どのような症状の患者にどのようにして採取した胎児細胞を利用して、どのように症状が緩和されたか、についてかかれてあればよいのですが。 ご回答よろしくお願い申し上げます。
掲載日: 2006.8.11
A:
専門家にご相談した最新の情報をお伝えいたします。 胎児細胞を用いた治療としては、パーキンソン病に対して胎児由来のドパミン産生細胞を移植する治療が過去北欧ならびに米国で実施されました。 米国の試験では二重盲検が行われ、一部の患者に効果がみられたものの、全体としてはあまり効果は見られていません。また副作用も報告されています。 1) New England Journal of Medicine、2001、344(10): 710-9. 2) Annals of Neurology、2003、54 403-414 胎児細胞を用いた治療は現在EUならびに米国では規制が厳しく本格的な臨床試験は実施されていません。一方、日本では臨床応用に関するガイドラインが作成されていないために本格的な臨床応用は実際されていません。 中国では胎児細胞を用いた治療が実施されていることが報道されていますが、その結果は欧米の学術雑誌に報告されていないために実態は不明です。Nature誌ではこの治療に関する取材記事を発表しています。Nature 2005、437、810-811 再生医療全体としては、胎児細胞を用いる方法ではなくて、ES細胞や成体幹細胞を用いる方法にシフトしています。 以上、ご参考にしていただければと存じます。
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