専門分野: その他
Q: 再生医療で肝硬変も治せるのでしょうか?
69歳の父親ですが、医師から肝硬変の末期だと告知されています。その医師からは、治す手立てはないので現状を維持していくしかないと言われています。肝機能のデータはそれほど悪くはありません。しかし、腹水が溜まりかなりの量の利尿剤を服用している事もあり、体がしんどく辛いとの事です。父が先日、テレビで再生医療のことを知り、肝硬変を治すことが出来ると言っているのです。私はテレビを見ていないので、良くわからないのですが、肝硬変が本当に治せるのか教えて頂けないでしょうか?また、治療するならどのような方法なのか教えてください。よろしくお願いいたします。
掲載日: 2008.6.30
A:
肝硬変の治療を続けておられるご様子、ご苦労も多いこととお見舞い申し上げます。 さて、肝硬変に対する再生医療につきましては、6月3日にNHKの「クローズアップ現代」で我が国の再生医療の現状が幾つか紹介された中で、山口大学の取り組みが取り上げられていましたので、これをご覧になったものと存じます。 ご相談へのお答えとして、「再生医療で肝硬変が治せるか?」と聞かれますと、答えは厳密には「ノー(肝硬変自体は治りません)」ということになりますが、山口大学からの報告では、かなりの頻度で肝硬変の程度が軽くなることが期待されます。この治療法の詳細や問い合わせ方法などが、山口大学消化器病態内科(第一内科)のホームページ http://www.ichinai-yamaguchi.jp/ に紹介されています。 内容を簡単に紹介しますと、患者さん自身の腸骨(腰骨のことです)に針を刺して骨髄液を400mL採取し、有用な細胞を選別した後に患者さんの静脈へ戻すという治療法です。治療の対象となることができる患者さんの条件として、 ・総ビリルビン値:3.0mg/dl以下。 ・血小板数:5万/μl以上。 ・食道・胃静脈瘤のコントロールが良好である。 ・心肺機能が良好で、その他の重篤な併存疾患が認められない。 ・ CTやMRIなどの画像診断で肝細胞癌が存在しない(治療後の場合は残存がない)。 ということが明記してありますが、「肝機能のデータはそれほど悪くない」ということですので、条件に当てはまるかも知れません。 担当の医師とよく相談された上で、条件に合致し、ご本人が治療を希望されるということになりましたら、担当医から診療情報提供書をプロジェクトチーム宛に送ってもらい、検討を依頼するという流れになるようです。
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