NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.428


専門分野: その他

Q: 動脈・静脈系ED治療について

 原因不明の静脈系のEDと診断され陰茎背静脈に不要な血管を紡ぎ、血流の流出を防ぎ勃起を維持する為の手術として血行再建術を受けました。
手術は成功して勃起は回復致しましたが、術後1ヶ月頃から徐々に勃起力は衰え、まもなく施術前と同じ状態になりました。
カラードプラー検査によって、原因はバイパス接合部分に血栓が出来た為であるとの事でした。
接合する為の不要な血管はもう一つある為、再手術は可能との事でしたが、再発の可能性を考えると踏み切れないでいます。
以前TVで再生医療により下肢血管の再生に成功した方を拝見した事がありますが(浅原孝之医師による)、私の様なED症状に対する再生医療の適用が可能なのか、現状と展望についてお伺いさせて戴きたく存じます。

掲載日: 2010.7.3

A:

 浅原先生は、新しい血管を作るもとになる血管内皮前駆細胞という細胞を発見した再生医療のパイオニアです。先生の発見を元に、骨髄細胞などを用いて血液が不足している組織に新たに血管を作る研究が進み、動脈硬化などによる足の壊死や心筋梗塞など、いわゆる虚血性疾患の治療法が格段に進歩してきました。ただ、今のところ、このような治療法は、心臓から動脈を通って流れてくる血流が不足している組織において、血管を新生させることで血流を良くする、という治療が主流で、ご相談のような静脈系への応用はまだ十分に研究されていません。確かに、末梢組織から心臓へ血液を還す静脈に異常が生じると、組織内で血液が鬱滞して(混雑した駐車場の交通渋滞のようなもので、先に入った血液が出て行かないので新しい血液が入って行けない状態になります)この場合も重大な血流障害に至る危険がありますが、静脈系の血管新生を目指した再生医療の研究は、動脈ほど盛んには行われていません。
なお、静脈性EDは、静脈を通じて血液が容易に流出してしまうことが原因と思われますから、治療としては、少なくとも原理的には、静脈の血行を良くするのではなく、逆に流れにくくする(静脈を殖やすのではなくむしろ漏れだしている静脈を潰す)方向で行うのが一般的で、この点でも血管新生療法とは方向が逆ではないかとも考えられます。ただし、実際の治療法についてはこの相談室で言及すべき問題ではありませんので、担当医師と十分にご相談ください。
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