NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.429


専門分野: 筋肉・軟部組織

Q: 肛門周囲括約筋について

 クローン病による肛門周囲膿瘍になり手術をしました。それ以降括約筋を傷つけたのか常に便のもれがあるようで、立ちっぱなしや長距離の歩行が困難な状態です。持病もあるので完治は難しいのかもしれませんが肛門周囲の再生の治療が可能であれば少しでも状況はよくなるのではと考えます。あまり周りには同様の例は聞かないのでずっとこのままなのか不安になります。またクローン病についてもなにか情報があればぜひ教えてください。よろしくお願いします。

掲載日: 2010.8.1

A:

 クローン病と肛門周囲膿瘍手術後の便のもれについてのご相談です。
肛門機能を高める再生医療の研究は、少しずつですが行われています。方向性としては、肛門括約筋自体を強化する方向で筋芽細胞を注入するような方法と、神経的な原因による機能異常を緩和するための神経再生の研究があります。ただ、実際に臨床的な効果が確認できるような研究段階にはまだ至っていないと思われます。ご相談の「便のもれ」がどのような原因で起こっているのか、詳しい事は分かりませんが、可能性としては、一部で切断されたことによって肛門括約筋の機能が不十分になっているのかも知れません。このような場合は、肛門括約筋にたいする筋肉組織の再生医療が有効である可能性は十分考えられます。今後、筋肉の再生医療が広まっていけば、そのような治療が行われるようになることも期待されます。
クローン病についての情報をお探しのようです。インターネット上で得られる情報源としては、難病情報センターのクローン病のページ
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/023.htm
や、慶応義塾大学炎症性腸疾患センターの該当するページ
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/medicine/gastro/ibd/booklet/bookletCD.html
などが参考になると思われます。また、クローン病を含む炎症性腸疾患の治療法として、腸粘膜などの再生医療も研究されております。なお、クローン病に対する外科的な治療では、腸管に限らず肛門病変においても、治療後の再発が比較的多いので、一度に大きな手術を行うよりも、もとの形や働きをできるだけ温存する方針で臨む場合が多いものと理解しています。現在困っておられる症状について担当の医師とよく相談され、少しでも良い方向に向かわれるよう願っております。
NPO会員様募集中
再生医療相談室トップに戻ります
再生医療推進センターは再生医学、再生医療の実用化を通して社会への貢献を目指す非営利活動法人です。
Copyright (C) NPO法人再生医療推進センター All rights reserved.