専門分野: 歯周
Q: ビスホスホネートによる、顎骨壊死について。
乳がんの骨転移の治療に「ゾメタ」を6年前から診療に使っています。昨年急に右の上の歯茎が腫れはじめ病院へ行き、歯にヒビが入ってるかもしれないということで歯をぬきました。その時に蓄膿症があることもわかりました。 抗生剤を毎日のみ、二週間に一度中を洗浄しに行っていました。今年の七月、右目が見えなくなり、眼科に行っても、脳神経外科(同病院内にあります)に行っても何もわからない状態でしたがすぐ、顔の腫れで朝起きると顔が倍に膨れ上がり痛くて夜も寝むれない日々が11月まで続きました。何度も別の抗生剤に変えましたが、もう薬がありませんと言われ最初の薬に戻りました。乳がんで通っている病院の主治医に処置の方法を毎回話すうちに、医師が、病院を変えたらどうかと紹介状を書いてくれたので、昨年12月よりそちらに通院しています。今は歯茎の骨がなくなり始め、歯がグラグラしていますが、骨に影響を与えられないのでそのままです。鼻の脇から耳に向かって、腫れと痛みで毎日痛み止めを飲んでいる状態で朝起きると鼻と口からの血と膿で寝具が真っ赤になっています。前歯多少の硬いものしか噛めなくなってき左側にも及び始めています。骨が無くなってからでは遅いので相談のメールいたしました。頬の骨も薄くなってきていました。仕事を持っています現在も通勤していますが、顔の骨が陥没したり、歯がなくなって入れ歯の利用もできなくなったら、死んだほうがいいと真剣に考えています。顔の骨を再生医療で復活できないでしょうか?再生医療に期待しています。
掲載日: 2013.6.2
A:
大変な状況でお困りのご様子、お見舞い申し上げます。 この薬の使用中には顎の骨の壊死や骨髄炎が起きることがあるようです。 顎の骨の再生についてのご相談ですが、実は、顎の骨や歯根骨の再生医療は、他の部位の骨再生に先駆けて古くから研究されています。実際の治療も行われていますが、例えば東京大学の医科学研究所、先端医療研究センターのグループ(下記URL) http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/hematology/terg/clinical/ や、口腔外科の高戸毅先生(今年の大12回日本再生医療学会の会長を務められました)のグループ(URLは下記) http://plaza.umin.ac.jp/~oralsurg/ 名古屋大学、顎顔面外科学の上田実先生のグループ(URLは下記)http://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical/6391/6408/gakuganmengekagaku_soshakushougaiseigyogaku.html などが積極的に取り組まれています。 今では、顎の骨だけではなく、顔面の骨も含めて再生医療の対象となっています。顎の骨が無くなれば、また骨を作ってもらい、そこにインプラントで歯を付けてもらえば、入れ歯よりよほど快適になるのではないでしょうか。 ただ、再生させる部位に感染がありますと、事情がかなり複雑になってしまします。現在治療を受けておられる医師(歯科医師でしょうか)など、状況を良く把握しておられる専門家に、顎骨の再生医療について一度相談してみられるのが宜しいかと存じます。
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