NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.528


専門分野:脳・神経・脊髄

Q: 分娩麻痺の神経再生治療

12歳の長男が分娩麻痺です。神経の混線などで、正常の40%ほどの可動域です。稲田有史先生が行っている人工神経再生チューブ治療は、分娩麻痺にも可能なのでしょうか?

掲載日: 2014.6.14

A:

お尋ねにある「人工神経再生チューブ」は、京都大学再生医科学研究所の研究成果を元に製品化され、2013年3月から「ナーブリッジ」という名前で東洋紡から発売され、同年7月より保険収載されています。この治療材料は完全に断裂し末梢神経の両端を繋ぐことで、断端から再生してくる神経線維をもう一方の断端へ誘導することで神経の再生をより確実にします。従って、分娩麻痺であっても、神経が完全に切断されているような場合にはこれを用いて治療できる可能性があると思われます。一方、不完全であっても神経の連続性が保たれ、多少とも情報が伝わっているような状況では、応用は難しいと考えられます。また、このような状態であれば、連続している神経の中を神経線維が伸びていきますので、時間はかかりますが症状は次第に回復することが期待できます。「正常の40%ほどの可動域」という症状は、神経が原因ではなく、運動障害があった影響で関節などが拘縮しているためである可能性も考えられます。信頼できる医師(お尋ねのような場合は整形外科医)とよく相談され、最適な治療を受けて頂くことを希望致します。
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