NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.534


専門分野:脳・神経・脊髄

Q: 脳性麻痺

パーキンソン病の新治療への期待というような話題は、最近よく耳にします。 同じく患者数の多い、脳性麻痺(成人)に対する再生医療の有効性や治療・研究等の現状、将来的な治療実用の可能性、または現実的な課題といったことを少しでも教えてもらえれば幸いです。

掲載日: 2014.6.14

A:

脳性まひは妊娠中から新生児期の間に何らかの損傷が脳に生じたために起こる運動機能の障害です。原因も症状も様々ですが、総じて言えることは、脳性まひの状態は新生児期までに起きた脳損傷の後遺症であって、現在進行中の疾患ではないということです。この点から考えますと、例えば成人の脳梗塞の場合、急性期には血栓溶解療法というような原因を取り除く治療法があり、発症後比較的早期に進行するとされる神経細胞死に対して骨髄由来細胞などを用いた再生医療が試みられていますが、完全に慢性期に入った患者さんに対しては今のところ効果が期待できる再生医療がない状況と似ており、一般的に成人の脳性まひに治療効果が期待できる再生医療の実現は、今のところ難しいと言わざるを得ないと思います。ただし、今後の研究の進展によっては脳の損傷部位の再生医療が実現する可能性がありますし、また、脳の可塑性は成人においても無くなっているわけではありませんので、これを生かしたリハビリテーションや、症状に応じたその他の治療により、運動機能を少しでも向上させてQOLを改善することができると期待されます。  一方、言わば急性期の脳性まひとも言える新生児の症例に対しては、高知大学医学部先端医療学推進センター( http://www.kochi-ms.ac.jp/cbsct/index.html )で、「小児脳性麻痺に対する自己臍帯血幹細胞輸血による治療研究」が「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の下で承認されていました。このような初期の新しい治療や成人するまでの適切な治療的介入が成人の脳性まひの方々のQOL向上に繋がることを期待します。
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