NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.566


専門分野:脳・神経・脊髄

脊髄損傷後の変化

脊髄損傷についての質問です。
以前にもこちらに二歳の病気の息子と題したものですが、横断性脊髄炎を2歳10か月の時に発症し、今はT8から下の完全麻痺、弛緩性麻痺となってしまい、現在4歳になった今も麻痺などの変化もない受傷した当初と同じ状態です。こちらでも助言して頂いたように週に3回〜4回のリハビリに発達支援センターでのリハビリ、自宅でも合間をみてできるだけ下肢を動かしなりマッサージなど変形、硬縮が無いよう心がけています。
あれから約1年が立ちましたので、損傷してしまった患部の経過を見るのに改めて主治医と相談しMRIを撮ったところ、どうしても損傷した下の脊髄は脳からの信号が通っていない為なのか、映りが薄く、脊髄はあるにはあるが、委縮が進行してきていると言われました。私達としては今再生医療の話題も多くなり、いつか息子もと思っていましたが、たった1年で委縮の進行となると将来繋げられるかもしれない神経も繋がらなくなってしまうのではないかと、すごくショックを受けました。主治医は今後どのように変化するのかはわからないとの事です。しかし私たちも希望は捨てたくありません。委縮とはどのように変化するものなのでしょうか?横断性脊髄炎での脊髄損傷と事故での脊髄損傷とではなにか違いがあるのでしょうか?脊髄を損傷されてしまった方はこのように脊髄が変化するのでしょうか?また委縮が進行しても将来希望はありますでしょうか?宜しくお願い致します。

掲載日: 2015.8.07

A:

脊髄損傷後の脊髄萎縮に関するご相談です。  脊髄損傷では、脳からの神経信号が損傷を受けたレベル以下の脊髄に伝わらなくなります。脳からの刺激が無くなった結果、動かさない筋肉が次第に萎縮するように、脊髄の神経細胞も廃用性の萎縮に陥ると考えるのが分かりやすいかと思います。脳からの信号が伝わらないという点では、外傷性と同じと考えて宜しいかと存じます。  神経の再生についてですが、今年になって、CRMP4という細胞骨格に関連する分子が神経軸索の伸張の制限や瘢痕形成に関与していることが判明しました(詳細はネイチャー誌の日本語ウエッブサイト、http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/62092 などをご参照ください)。この分子をノックアウトしたマウスでは脊髄損傷後の早い時期から機能回復がみられたそうです。このように、神経再生の研究は世界中で行われています。担当の医師とよく相談されて、できるだけ良い状態を維持されるよう祈念致します。
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