NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.593


専門分野:筋肉・軟部組織

再生医療してもらえる可能性あるのか?

はじまして。私は医薬品副作用麻酔薬が原因で横紋筋融解症と診断されました。
当初は硬膜外麻酔の箇所が痛くてたまらなく、針を抜いたとたんに、身体が硬直しだし過呼吸や痛み痺れがどんどん激痛になり左足は術後からしびれがあり右足は痛みが術後よりどんどん増し記憶があちこちとんで危篤状態てした。翌日気がついた右足は2〜3倍程までパンパンにはち切れそうなぐらいに腫れ上がり画像では筋肉が溶けて水分になってました。それが足のつけねから膝ぐらいまで。
4年ほど絶ちますが未だに痛みが残り、左足は痺れが残り右足の痛みが消えず足の太さは左右変わらない元の太さには戻ってきましたが、右足の一部の箇所が頭と足を動かす動作がわからない、右方向後ろ方向に足が持ち上がらない、寝ながら右足を足を伸ばしたままも上がらない状態です。長時間座る事も出来ずおしりの筋肉も薄くなったのか骨に当たるので、太もも表側も座ることで重力で引っ張られる感じするので下に足を普通におろせず椅子の上で足を三角ずわりのようにして対応したり、日々は寝たきりです。このような筋肉や神経からの融解した部分の機能が起こらない箇所を再生医療で治すことできますか?直して欲しいと思っています。制度の狭間で支援もなく医療費も麻薬シールを毎日はったり他に痺れの薬も飲むので高額で仕事も出来ずこの先、人生半分どうやって前向きにいきていけばいいのかお金かかる生活にも痛くて自由が効かない身体にも介護してくれる親などにも精神的にも疲れていってます。可能性があるのであれば再生医療の治療を受けたいです。
助けて頂けないでしょうか?それともまだまだ難しい箇所になるのでしょうか?


掲載日: 2017.02.18

A:

 医薬品による横紋筋融解後の症状で大変ご苦労をなさっておられるご様子、心よりお見舞い申し上げます。
 ご相談いただいた症状の中には、しびれや運動障害のような神経症状を疑わせるものも含まれますが、横紋筋融解症という診断から、筋肉の再生について回答させて頂きます。まず、四肢などの筋肉(骨格筋)に対する再生医療は世界中で研究が進んでいます。
 我が国では、骨格筋を作る元になる細胞である骨格筋芽細胞をシート状にしたものが、テルモ株式会社から「ハートシート」として発売されています。これは、患者さん自身の大腿部の筋肉を培養したもので、各種の増殖因子などを分泌することによって心筋の機能回復に有効と考えられています。現在のところ虚血性心疾患による重症の心不全が適応となっています。材料の価格は、採取・培養で636万円、回収・調整でシート1枚あたり168万円。これを一回の手術で5枚使うこととされていますので、168×5で840万円。合計すると、一回の手術分で1,476万円となります。そもそもこの細胞は骨格筋になるはずの細胞ですので、これが骨格筋の再生に使えれば、筋肉を再生できる可能性があります。ただ、明らかに適応外使用になりますので、今の体制では作ってもらえる可能性は低く、もしも作ってもらえたとしても保険は利きません。
 また、iPS細胞から筋肉の細胞を分化誘導して、筋ジストロフィー(筋肉が萎縮する先天性の病気)の治療に応用しようとする研究も進行中ですし、反対に、筋ジストロフィーの患者さんからiPS細胞を樹立して、これから筋肉の細胞を作り、試験管内でその病態を再現することで、これを防止するような薬剤を探す研究も行われています。
 さらに、我が国では人口の高齢化が急速に進行していますが、加齢に伴う骨格筋の萎縮によって運動機能が低下してしまうことも大きな問題として取り上げられており、ここでも、リハビリテーションに加えて再生医療的な対策も研究されています。
 このように、骨格筋の再生医療についてはかなり研究が進んでいますが、残念ながら、我が国で実際に治療が行われるような段階には至っていません。ただ、再生医療をできるだけ早く患者さんのもとへ届けることは、国の責務とされています(再生医療推進法)。患者さんの少ないいわゆる希少疾患や、今回のご相談のような希だが重篤な薬の副作用に対する再生医療についても、十分な配慮が必要と考えます。


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