専門分野:脳・神経・脊髄
脳幹出血
兵庫県赤穂市に住む57歳の男性です。11年前に脳幹出血に倒れまして、以後、左半身麻痺で苦しんでおります。
将来サンバイオ様のお薬の投与は手術のできない脳幹出血の場合にも適用できるのでしょうか。お聞かせください、お願い致します。
掲載日: 2018.04.03
A:
サンバイオ社が平成30年3月13日に出した再生医療薬「SB623」に関する会社発表((http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1564451))
によりますと、米国での慢性期脳梗塞の治験は観察期間に入っており、また、慢性期外傷性脳損傷に対する日米での治験も、患者組み入れが完了しつつある段階で、慢性期脳梗塞を対象として日本での上市をめざしているとのことでした。
この薬は慢性期脳梗塞において運動麻痺を改善する効果が期待されており(結果の公表は平成32年1月ごろになるようですから、今のところは「期待」としておきます)、同疾患で困っておられる患者の皆様には画期的な治療法になる可能性があります。
さて、ご相談の件ですが、問題は麻痺の原因が脳梗塞ではなく脳出血であるということです。この薬が保険適応となった場合、まず適応となるのは「慢性期脳梗塞による麻痺」となるものと思われます。そうすると、脳出血による麻痺は適応から外れますので、少なくとも保険が利く形で使用するのは難しいことになります。ただし、中枢神経の障害によって引き起こされた麻痺である点は脳梗塞でも脳出血でも同じですから、将来的に適応拡大に至る可能性は十分にあると思われます。このあたりの判断は会社の経営方針によると思いますが、慢性期脳梗塞で利くのであれば、脳出血の慢性期に対しても適応拡大の治験を行い、有効性を確認して適応拡大に至る、という道筋はありうると思います。
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