項 目 | 内 容 |
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専門分野 | 脳・神経・脊髄 |
質問タイトル | 私は脳外傷患者です |
質問内容 |
私は脳外傷患者です。 ここ数年、自家間葉系幹細胞を培養して点滴治療をする再生医療の病院が増えてきています。自由診療なので保険診療ではありません。 再生医療病院は、脳損傷にも効果があると言ってる病院もあります。もちろん、急性期・亜急性期ならnotchシグナルが出ているため自家間葉系幹細胞も損傷に向かってホーミングすることも考えらられますが、そもそも成人の脳細胞の場合は、幹細胞は移動できないと言うのが定説だったと思います。 血管のすぐ側に脳損傷があれば、損傷部に幹細胞が移動するかもしれませんが、臓器内部に損傷部がある場合でも臓器内に移動して脳神経細胞に分化するものでしょうか? |
掲載日 | 2020年12月11日 |
回 答 |
生きている組織には血管が分布しています。もちろん、関節軟骨などの例外もありますが、血管が運ぶ酸素の量に応じて代謝が回って、細胞の機能が発揮されると考えられます。 間葉系幹細胞が何をやっていて、どう効果があるのか、ということについてはまだよく分かっていません。ただ、各種の増殖因子など多くの有効かもしれない物質を分泌することはよく知られています。 ご相談の最後にある「脳神経細胞に分化する」ということは一部の間葉系幹細胞(Muse細胞がその一例です)では確認されていますが、それがおこらなくても、例えば、血管を増やすことで細胞の機能を上げるとか、神経細胞が持っている神経突起をたくさん出るようにするとか、神経突起の伝道速度を上げるような細胞(シュワン細胞)を増やすとかでも神経の働きは向上します。ということで、神経細胞に分化することだけが有効性の機序とは限りません。 間葉系幹細胞の投与が多くの疾患に有効かもしれないということは、最近の多くの臨床例で示されていますが、効く人もいれば効かない人もいるというのも事実です。そういう意味では、試してみるしかないのですが、1回の投与に150万円から300万円もかかる(大部分は投与する細胞の培養にかかる経費で、医者の取り分はあまりありません)という現実は、その普及を妨げていると思っています。 |
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