NPO法人再生医療推進センター

No.112 再生医療トピックス

臨床研究での死亡例報告-遺伝子治療、因果関係なし

第54回再生医療等評価部会

当再生医療トピックス、No.110で「厚生科学審議会 再生医療等評価部会の動き」をご紹介しました。その際、第54回再生医療等評価部会が10月8日に開催されることをお知らせしましたが、部会の議題の一部の内容が公開されましたので、以下に記します1)


第54回再生医療等評価部会の議題は

でした。公開された遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告については次に内容でした。


厚生科学審議会再生医療等評価部会注1)は千葉大学医学部附属病院から、悪性胸膜中皮腫を対象にNK4遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを投与する臨床研究を受けた患者が、2019年12月に膵癌の進行で死亡したと報告を受けました(2020年10月8日)。同院は、遺伝子治療を原因とする有害事象は見られなかったとし、死亡と直接の因果関係がないとの見解を示しました。厚生労働省大臣官房厚生科学課は、「結論に異論は出なかった」と説明しています。


死亡が確認され、「遺伝子治療等臨床研究重大事態」として報告されたのは、切除不能な悪性胸膜中皮腫を対象にNK4遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを投与して安全性と有効性を確認する臨床研究(研究責任者=巽浩一郎千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学教授)でした。より詳しい情報については、「遺伝子治療等臨床研究重大事態等報告書:千葉大学医学部付属病院」2)を参照ください。


(用語解説)


(参考資料)

  1. 薬事日報:再生医療等評価部会:臨床研究での死亡例報告-遺伝子治療、因果関係なし、2020年10月14日
  2. 千葉大学医学部付属病院:遺伝子治療等臨床研究重大事態等報告書、2020年9月11日

(y. moriya / 2020.10.20)