細胞が成長して「大人」になっていくこと。例えば、卵という一つの細胞がやがて神経細胞、血液、皮膚といった特定の細胞になっていくことです。特徴がはっきりしてきて周囲との調和も取れるようになります。逆に未分化はまだ若くて元気が良くて成長過程といえますが、周りとの調和力は今一つ;未熟な感じですね。受精卵は未分化、脳神経細胞は分化の代表です。癌細胞は未分化;勢いがあって強い細胞ですが周りとの調和に欠きます 癌でも未分化度が高いほど「悪性度」が高くなります 逆に”分化”の代表である成熟した脳神経細胞は再生しません(大人になったら脳神経細胞は再生しません)。ですから、大人の脳神経細胞から癌は発生しません。
皮膚や血液は再生します。 怪我をしても治るし、出血してもまた元に戻りますよね。ところが脳の傷は治りません(と言われてきました)。実際、脳梗塞で失われた脳神経細胞は生き返らないし、脊髄損傷で途絶えた神経細胞のネットワークは再構築されません。
臓器によって、組織によって、細胞によって再生するかどうかが決まっています。多くの細胞が再生するのですが、脳神経細胞は再生しない・・・正確に言うと、一旦神経細胞に分化した細胞は分裂して新しい神経細胞を作ることが無いのです。
多くの細胞は再生するのですが、細胞が再生する時、どの細胞になるのか通常決まっています。カエルの子はカエル!皮膚の元の細胞は皮膚に、血液の元の細胞は血液細胞になります。
ところがアイ・ピー・エス(iPS)細胞!色々な細胞になれますよね!万能細胞、山中先生はこの細胞を世界で初めて作られて、2012年ノーベル医学生理学賞を受賞されました(この時、同時受賞されたのがケンブリッジ大学のジョン・ガードン博士で、カエルのクローン実験をされた先生です(カエルの子はカエル;核を交換したらその核が持つ遺伝子情報のカエルになる))。一旦分化した(大人になった)細胞が別の細胞になれるというのですから画期的です。細胞の”人生”は”やり直し”が効くようになりました!
この様に色々な細胞になることが出来る細胞を幹細胞と呼んでいます。
幹細胞には大きく分けて3種類あります。
アルツハイマー病、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳梗塞、脳出血・・・脳の病気も“諦めない”再生医療
(『諦めない 認知症・難病に挑戦する再生医療 再び健康な日々を過ごすために』 アークメディア出版 より)
(neuron / 20240416)
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