専門分野: その他
Q: 膀胱再生医療はいつごろ普及するか?
膀胱の再生医療について質問させていただきます。以前に投稿された質問への返答にあるように、5年ほど前にすでに膀胱の再生医療がアメリカで成功しているようですが、日本でごく一般の患者がその手術を受けれる日は近いのでしょうか?自分自身が膀胱機能障害をもっておりまして、そのような手術を受けれる日を待ち望んでおります。ご返答お願いいたします。
掲載日: 2011.5.21
A:
膀胱の再生医療としては、アメリカで行われたように膀胱壁の形をした人工材に細胞を植え付けて培養し、これを移植する方法のほかに、現在行われている腸管壁を使った膀胱拡張術の欠点を補う目的で腸管の粘膜を除去して培養した膀胱粘膜の細胞シートをはり付けて移植する方法が研究されています。この方法を研究している東京女子医大再生医工学分野(岡野光夫教授)のウエッブページに膀胱再生医療に関する記載があります。 (ここから引用) 膀胱組織の再生 現在、先天性奇形や感染症による膀胱の機能不全、欠損に対して、消化管を使った拡大術や再建などの治療法が取られているが、結石、代謝異常などの多くの合併症の問題がある。この問題を解決するために、本学泌尿器科学の東間紘教授らとの共同研究により、膀胱尿路上皮細胞シートを作製し、合併症の原因となる消化酵素やイオンを分泌する粘膜を切除した消化管上に移植した。移植したシートは消化管平滑筋層に生着し、消化管由来の粘膜が再生することなく膀胱正常組織と同様の尿路上皮層の再生に成功した。 (ここまでhttp://www.twmu.ac.jp/TWMU/Medicine/Daigakuin/field/0604/index.htmlより引用) この他にも、放射線障害などで障害された膀胱壁を骨髄由来の幹細胞を用いて再生させるような研究も行われています。 日本再生医療学会の理事長でもある岡野光夫先生は、研究結果を臨床に応用することに強い熱意を持っておられ、その一端は再生医療学会ホームページの「再生医療学会理事長就任にあたって」(http://www.jsrm.jp/info/greeting.html)でも表明されています。「日本でごく一般の患者がその手術を受けれる日」がいつになるか、具体的に何年後というのは難しいですが、我が国で新しい医療技術の臨床応用を妨げて来た色々な障害を克服する努力を続けることで、そのような日が少しずつ近づいてくることが期待できると思います。
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