NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.469


専門分野: その他

Q: 断端形成手術後の指の再生

 留学先の海外(イギリス)での出来事ですが、おそよ2週間前(2011.4.2)に右手薬指の先端をドアに挟まれて約0.5mm程そぎ落としてしまいました。爪は残っていました。指の回収は出来ず、もし出来ていたとしても、損傷が激しかったと思うので、再接着は無理だったのでは無いかと思います。
その後病院に行き応急処置をしたのですが、救急医療センターだった為別の病院を紹介され、翌日診察に行きました。結果、骨が見える程指先がそぎ落ちていたので、細菌感染を防ぐためにも整形手術が必要との事で、手術の予約をし、翌日には断端形成を受けました。結果、爪は無くなり、怪我をする以前に比べ約1cm短くなってしまいました(第一関節からは約1.5mm残った状態)。
現在縫い糸は残った状態ですが、2日後には抜糸をし、後はリハビリを行って行く様な状態です。最初の怪我の状態では、皮膚を体の一部から移植するか、自然に再生するのを待つ様な治療で、元の状態に近くなるだろうと期待していたので、とても無念です。
インターネット等で指切断に関して検索していると、湿潤療法や細胞外マトリックス等の情報がありますが、どれが真実なのかも分からず、そしてすでに断端形成手術によってほぼ形も出来てきてしまっているので、何も出来る事が無い様にも感じます。
けれど、指先が無くなってしまった事で、自分の知識不足や事故への後悔の念で一杯で、藁にも縋る様な気持ちで情報を探しています。
治験を含め、病院や大学等が有れば情報を頂けたらと思います。

掲載日: 2011.6.18

A:

  骨が露出しているような指先の切断では、骨や腱に感染が起こると治療に難渋することになります。皮膚が残っていれば、これを縫合してとりあえず骨が露出しない状態に修復できるのですが、そうでない場合には現在の日本でも断端形成行うことが多いです。断端形成は残った健常な皮膚で傷をふさぐのが目的ですから、露出した骨を削って短くし、皮膚を縫い合わせます。したがって、余裕を持って縫合しようとするほど指が短くなってしまいます。ただ、最近では、いろいろと良い治療材料が使えるようになっていますので、そのような場合でも、傷の状況やご本人の希望、医療環境(問題発生時に迅速な対応ができるかなど)を考慮して、できるだけ保存的な治療法を選択する傾向が強くなっていると思います。
 すでに断端形成を行った指の再生というのはなかなか難しい問題で、せっかく閉じた傷をまた開かなければなりませんのでよほどの成算がないとできない処置だと思います。このような治療に積極的に取り組んでいる施設を私は知りません。ただ、このような可能性について相談されるのであれば、指の治療を多く手掛けておられる形成外科の医者に診て頂くのが良いと思います。
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