専門分野:その他
Q: 再生医療の時間的問題
脳梗塞後遺症で泣いている71才の男性です。脳梗塞を起こしてから11年経過します。これまで、診てもらった医師は、すべて「もう少し早く来れば治すことができたのに」と発作後に直ぐ対応しなかったのが不治となった原因のように話ます。今、札幌医大で実施されている幹細胞による再生というのは、もう11年経過していても治る見込みはあるのでしょうか。ボラチア募集にも、発作後半年以内と限定されているのは、どうしてでしょうか。お尋ねします。それからSTAP細胞の臨牀試験は、どうなっているのでしょうか。
掲載日: 2014.3.19
A:
最近では、脳梗塞の発症直後(3時間以内)に血栓溶解療法を行うことでその後の経過を大きく改善することができるようになっていますが、これができるようになったのは2005年からで、11年前には一般的な治療法ではありませんでした。
札幌医大の治療法は、今のところ発症後20日を目処に転院できる患者さんを対象にしていますが、安全性や有効性がはっきりしてくれば、少しずつこの基準が拡がってくる可能性はあると思います。
発症後時間が経過した脳梗塞の患者さんに対しては、再生医療や脳神経科学などの研究成果を取り入れた新しいリハビリテーションのプログラムが行われるようになっており、現在では「麻痺は治療すれば回復する」と考えられています。担当の医師・療法士らとよく相談されて、少しでも良い治療を受けて頂くよう希望します。
「STAP細胞の臨床試験」についてのご質問ですが、STAP細胞の存在自体が問題になっている状況では具体的な研究計画を立てることができません。もし存在が確認されたとしても、そうなる機序や細胞のがん化との関連など、基礎生物学的な事柄が相当程度明らかにならなければ、ヒトの疾患治療への応用は難しいのではないかと推察されます。
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